行進子犬に恋文を(著 玉崎たま氏)は女性将校を目指す少女たちの恋物語である。

作風は大正浪漫を思わせる世界感で軍服少女たちの百合を堪能することができる。

ちなみに本編とは関係ないが、筆者にとってとても思い入れのある作品で月刊誌の百合姫本誌を毎月購入するきっかけになった作品である。

世界感、キャラクター、ストーリーとどれをとっても筆者好みであり一目惚れした。
話がずれてしまったがとにかく超オススメできる作品である。



ストーリーは主人公「犬童 忍」が入学する前日から始まる。

犬童は「陸軍女子幼年学校」に入学するために、一人田舎から出てくるが街で迷ってしまう。

学校を探してる途中「大葉 こと」「加賀美 藤乃」と会い、道を教えてほしいとお願いする。

2人は案内を快諾するが犬童が明日、入校するために陸軍女子幼年学校に行きたいと言うと加賀美が急に笑い出す。

ボロボロな格好の犬童を見てこの様な者が入校するのかと馬鹿にする。

聞けば2人は同じ学校に通ってるという。そこにノラ犬のような犬童が入校するのがおかしいという。

案内後、加賀美は生徒監(教師)に呼び出され、大葉と2人で行動することになる。

厳しい性格の加賀美と違い、大葉は優しいお姉さんタイプである。優しいお姉さんタイプなのである。

大事なことなので2回言わせてもらった。異論は認めない。
筆者は加賀美推しだが大葉姉さんも大好きだ。

大葉と2人で歩いていると銭湯を見つけ、そのまま連れて行かれる。

そこで犬童のことや幼年学校について会話しながら大葉にきれいきれいしてもらう。

入浴後、きれいになった犬童を見て大葉が色々する。凄く残念だが色々のところは描かれていない。

翌日、幼年学校に無事入学することができるが昨日の大葉の色々によって犬童は美少女になっており、他の生徒が頬を赤らめる。最高である。

幼年学校では1年4人と3年1人の5人で生活することになっている。3年生は模範生徒として1年を指導する役目を担っている。

犬童達の模範生徒は加賀美で犬童は怯えてしまうが、美少女と化した犬童に加賀美は気づかない。

むしろ加賀美までも犬童の美少女ぶりに見惚れてしまう。(見惚れた理由は他にあるが)

制服を着たあと父兄へのお披露目会があるが田舎から1人で来た犬童は見せる相手がいないため一人その場を離れる。

歩いていると大葉を見つけ、駆けつけるがそこには加賀美もいた。

そこで大葉に美少女の正体は昨日のノラ犬であると告げられる。
また加賀美に叱られるのを覚悟するが特に何もなくその場を去ろうとする。

だが急に加賀美に腕を掴まれ美しい抱擁と共に入学を歓迎される。
厳しかった加賀美に急に優しくされて犬童はただ困惑するしかなかった。

その後、加賀美はとても優しく犬童に接する…ということはなく、また以前のように厳しくなる。

自由気ままな生活をしていた犬童に学校生活は大変なもので毎日のように叱られるが、同級生であり同室の「愛船 三春」たちと共に頑張っていく。

かなり厳しい加賀美だが、犬童を心配したりと優しい一面も時々表れる。そんなある時、犬童は加賀美に休日デーt…散策がてら飯盒炊爨に誘われる。

本作のストーリーはこんな感じである。

厳しい加賀美が時折見せる優しさがとても良く、それに惹かれていく犬童の姿もまた美しきものである。

加賀美が犬童を特別扱いする理由はネタバレになるため書けないが、それによる2人の気持ちが変化していく様はとても面白い。

また、百合の花はこの2人にだけ咲くわけではない。

他のキャラたちの百合ストーリーも格別に面白いものである。ぜひ読んでみてほしい。

この作品は5巻で完結しているが読み終えるころには作者の玉崎先生に感謝していることだろう。


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