チヨちゃんの嫁入り(著 伊藤ハチ)は主従百合とおねロリ2本の計3作品をまとめた本である。


まずはじめに、言っておくがこの作品の世界感は伊藤ハチ先生の「合法百合夫婦本」と同じくケモ耳で同性の結婚がゆるされてる世界である。

つまり百合の存在が当たり前であり、それを否定するものはいない最高の世界だ。

また、伊藤先生の作品には明るいタイプとダークな雰囲気があるタイプが存在するが本作は明るい方に分類されるだろう。

最初に書いたが、本作は主従百合とおねロリ2本が収録されており、それぞれ1話で完結している。(一部後日談あり)
ここでは3作品それぞれを少しずつ紹介したいと思う。



1.「主従百合本」和風ケモ耳×主従

召使いの「リツ」は実家が貧しかったため、女学校を卒業してすぐに働きはじめた。
しかし、奉公先の奥様に虐げられ、見かねた旦那様に新しい奉公先を紹介されることになる。

文章のみで奥様に虐げられるシーンは登場しないため、安心して見てほしい。

そして紹介された屋敷では美しい「お嬢様」が一人でひっそりと暮らしていた。
お嬢様は体が弱くほとんどベッドの上で生活をしているが、とてもお話が好きな方でリツはよく話相手になっていた。

話相手といっても無口なリツはほとんど聞き役だったが、お嬢様はリツに対して「私静かな人って好きよ」と微笑ましい会話をしている。

そんな美しいお嬢様に特別な感情が芽生えてしまうのは当然のことだろう。

だが、お嬢様は寂しい方でもあった。
病弱な故に出かけることができない。
ベッドの上で小鳥にご飯をあげることができても外で戯れることはできない。

「青空の下で緑の草を踏みしめて大切な人と手をつないで歩いてみたい」

そう寂しそうに語ることもあるが、リツは一生懸命お嬢様を励まして一緒に原っぱを散歩する約束を交わす。

実に綺麗で美しい忠誠心と言えるだろう。
見てて心がほわほわする。

だが、のんびりとした日常はずっとは続かない。

ある日リツが買い物と神社でのお参りをして帰宅するとお嬢様の容体が急変していた。

すぐに医者を呼び解熱剤を投与したが、だいぶ悪い状態で更に今回の発熱により視力が低下していた。

現代の医学では治療法がなく、しっかり休養して体力と気力をつけさせるしかない。

医者が帰ったあと、お嬢様は目が見えず死ぬかもしれない不安で涙を流していた。

このまま死にたくない。
死ぬ前に誰かに愛されたかったと。

そこでリツは不器用ながらも美しい提案をするのであった。



2.「春に降る雪」ケモ耳お姉さん×人間の女の子

この世界はケモ耳があるのがあたりまえの世界。
だが、極稀にケモ耳が無い状態で生まれてくることがある。

研究者のお姉さんはその「ミミナシ」を調べており、山奥にある村にミミナシがいると聞いて行こうとしていた。

最寄の駅で駅員に雪が積もった状態で歩いていくのはやめた方が良いと忠告を受けるが、それでもミミナシに会うために歩みを進めていく。

だが、やはり歩いていくのは厳しく、心が折れそうになってしまう。

そんななかでフードを被った幼い少女と出会い、村までの道案内をしてもらうことになる。

「シロ」と名乗る少女について行くと村ではなく少女の家に着いた。

少女がお姉さんをお持ちかえr...家に連れてくるとは実にわくわくする展開だが、リアルでは危ないため良いロリっ子たちはマネしないようにしよう。

家に着いて温かいお茶を飲みながらミミナシを調べるために来た研究者だと自己紹介するが、それを聞いたシロの態度が一変する。

「ミミナシなんて知らない。お茶を飲んだら出て行って。」

そう言われてお姉さんはその場を立ち去ろうとするが、その前にお礼を渡そうと近づいてしまう。

シロはお姉さんから離れるために走って逃げようとしたが、その拍子にフードが脱げてしまう。
シロの頭が見えるようになったがケモ耳がない。

お姉さんが探していたミミナシはシロだったようだ。
それによりお姉さんは変質者の如くシロに迫ってしまう。

お姉さんが幼女を見て「はぁ…はぁ…」と興奮している姿は眼福ものだが、やはり知らない大人を家にいれないのが正解だったようだ。
良い子は(ry

興奮して近づくお姉さんに恐怖したシロは思わず近くにあった薪でお姉さんの頭を殴ってしまう。

やりすぎ感があるが仕方ないだろう。
興奮して幼女に近づくお姉さんに非がある。

殴られ意識が飛んだお姉さんはベッドの上で目を覚ます。

そこにシロがやってきてごめんなさいする。
お姉さんが研究者と言ったせいで実験されると思い恐かったようだ。

それでお姉さんは「あなたを傷つけるようなことはしない!」と約束し、2人は和解することができた。

仲直りができたのは良いが1つ問題が発覚した。

まだ雪が降っているが、この雪の積もり方だと当分電車は走らないそうだ。

お姉さんが困っているとシロはもじもじしながら「ここに泊まってもいいよ」と歓喜のあまり卒倒してしまいそうな素晴らしい提案をしてくれた。

お姉さんは凄く喜ぶが、シロは泊まるための条件を1つ出す。

「私には絶対に触らないで」

まあ当然の条件だろう。と思ったが少し意味が違ったようだ。
身の安全のために違いはないが、それはお姉さんに対しての発言だった。

「私は呪われた子だから」

その発言の意味を理解できないまま次の日の朝を迎えた。
もちろんお姉さんが狼さんになるシーンはないから安心してほしい。

お姉さんは小腹が空いた時のために買っていたお菓子をシロにあげるととても喜んでくれた。
年相応の可愛らしい笑顔を見るとこちらまで口角が上がってしまう。

お菓子を食べながらミミナシについての話をするが、お姉さんが見た資料によるとミミナシには「特殊な能力」があるという。

ある人は火を自由に操り、またある人はただの石から金を作り出したりしていたようだ。

シロにも何か心当たりはないか問うと、渋々だがあると教えてくれて実演もしてくれることになった。
ずっと着けていた手袋を外して1輪の花を握る。

するとたちまち花は枯れてしまった。
シロが持つ特殊な能力とは「生命を吸い取る力」だった。



3.「チヨちゃんの嫁入り」和風ケモ耳×おねロリ

「お隣に住む千ちゃんはとっても優しいおねえさんです」
「千ちゃんはいつもチヨのことを心配してくれます」
「チヨは千ちゃんがだいすきです」

そういきなり大胆な紹介をしてくれた「チヨ」ちゃんは11歳の可愛らしい女の子。

そのチヨちゃんと仲良しの「千」ちゃんはチヨちゃんより歳が十と五つ離れたお姉さん。

チヨちゃんは頻繁に千ちゃんの家に遊びに行き、勉強を教えてもらったりしている。

千ちゃんは真面目なしっかり者のお姉さんといった印象でいつもとても美しい笑顔をしている。

もちろん百合の花が咲いている時が1番良いがそうでない時でも見ていて心が豊かになる笑顔だ。

千ちゃんは賢い大学を卒業して仕事をしており、お母さんからはいつも「千ちゃんみたいな立派な大人になりなさい」と言われるという。

たしかに千ちゃんは目標にしたいくらい立派な大人である。

私の近くにもこんなお姉さんがいてほしかったと思ってしまう。
まあ、その隣にいるのは私ではなくチヨちゃんのような可愛らしい女の子で私はそれを眺めれたら本望だが。
しかし、現実はそう甘くはない。
だから再び本の方に戻ることにする。

チヨちゃんかわいいなぁ

千ちゃんの家に行き、お習字の練習をしていると千ちゃんがたくさん褒めてくれる。
でもチヨちゃんはいつも先生に赤く直されてしまうとしょんぼりしてしまう。

そんなチヨちゃんのために千ちゃんがお習字を教えてくれることになるがこのシーンがとてつもなく尊い。

綺麗なお姉さんが後ろから可愛い女の子の手を握り、そのままお習字の書き方を丁寧に教えてくれる。

あまりの美しさに尊死をしてしまいそうだが、それは私だけではないようだ。

チヨちゃんも教えてもらっている間、ずっとドキドキしており、書き終えたあとに「なんかどきどきしちゃった…」と顔を赤らめている。
最高だ。

勉強したり折り紙で遊んだりしていると早くも夕方になり、帰る時間になってしまった。
チヨちゃんはまだ千ちゃんと一緒にいたいと駄々をこねる。

当たり前だ。
私だってまだこの2人のことを見ていたい。

そう思っていると千ちゃんが「今日はお泊りしていく?」と素晴らしい提案をしてくれた。

チヨちゃんはとても喜び「千ちゃんだいすき!」と千ちゃんに抱きつく姿は見た者全員を容易く尊死させれるくらい破壊力が強い。

だが、それよりも強烈な尊いをくれる人がいる。

千ちゃんだ。

だいすきと甘えてくるチヨちゃんを見つめる千ちゃんの表情はあまりの美しさにそのページから目が離せない。

この時の千ちゃんはストーリーを最後まで読んだあとにもう一度見るとより素晴らしく感じるためオススメだ。

そしてお泊りシーンだが、これもとても良きものである。
だからこそあえて語るのは省略させてもらうことにする。
2人の仲良しは自分の目で見てほしい。

そんな素晴らしい日常を送っているが、事件は突然やってくる…

ある日チヨちゃんが帰宅するとお客さんの話し声が聞こえた。

少し覗いてみると千ちゃんが来ており、お母さんと会話していた。

その会話というのが千ちゃんのお見合いの話だった…



どの話も素晴らしく見ごたえのあるストーリーなため、是非とも本を手にとって読んでもらいたい。

かなり個人的な好みの話になるが、「主従百合本」はおねロリ系ではない数少ない主従百合であり、よくあるメイド服じゃない和風な姿でとても貴重な作品だと思う。

筆者は主従百合がとても好みであり、この本を手にした時は歓喜のあまり何周も読んでしまった。

内容もとても良く、愛に勝るものはないのだなと思える素晴らしい作品だった。

リツが好きなお嬢様。お嬢様が好きなリツ。
この2人にはもう永遠に仕合せでいてほしい。

もちろん他の2作品も凄く良い物である。

おねロリも大好きでおねロリを見るために購入したら主従百合も掲載されていたという素晴らしい本だ。

2作品目の「春に降る雪」もとても設定が凝っていてこの作品単体で長期連載してほしいと思えるほど面白い。

特に最後の1コマはシロの今後が明るいものにしてくれるだろうという期待ができてとても良かった。

3作目の「チヨちゃんの嫁入り」もすごく綺麗なおねロリでどのページを開いてもニヤニヤがおさまらない。

おねえさんに甘えるチヨちゃんが可愛すぎてすぐ尊死してしまいそうになる。

千ちゃんもチヨちゃんを見つめる表情が毎回良すぎる。ほんとに目が離せなくページを捲れない。

しかも「チヨちゃんの嫁入り」は後日談があり、そこでめちゃくちゃ可愛い千ちゃんを見ることができる。

もう後日談だけで何回読んだかわからないくらい読んでしまう。

千ちゃんもチヨちゃんも心を豊かにしてくれてありがとう。