三日月のカルテ(著 七坂なな氏)は難病を抱えた女の子とその女の子の担当になった研修医の恋愛ストーリーである。

病気を題材にした物語では悲恋物が多くあるが、この作品はめちゃくちゃ重いストーリーなどではないため、ハッピーエンド主義者の人でも安心して読んでほしい。

ただ、設定上シリアスなシーンはあるが、七坂先生の優しい絵によってかなり緩和されているため、比較的読みやすいと思う。

そしてかなり重要な要素だが、これはおねロリ作品である。
最高だ。



ストーリーは研修医の「月洲 有樹」が難病のため、ずっと入院している「明星橋 透花」の担当となったところから始まる。

透花は光線過敏で日光は厳禁、食品も限られた物しか食べられない。

そのため、ずっと病院生活で他の子供達のように外で遊ぶことができず、病室で本を読んだり、オシャレを楽しむくらいしかできない。

そこに有樹(センセイ)が新しい担当となり、挨拶するが毎年入れ替わる研修医の会話には飽きており冷たい態度をとる。

しかし、透花も女の子である。
恋愛物の本を読んでいたのかセンセイの大学時代の好きな人の話になると目をキラキラさせて話を聞くなど、年相応の可愛らしい一面もある。
(ちなみに有樹の恋は実らず恋人はいなかった)

恋愛話に目を輝かせていた透花だが、態度が一変し悲しい表情になる。

「失恋でも羨ましいわ。あたしは一生恋することはないから」

透花のセリフを理解する前に上司に呼ばれたセンセイはその場から離れてしまう。

日本の闇とも言える朝まで残業をこなしたセンセイがコーヒーで一服していると屋上の縁に立っている透花を見つける。

ある事情でその状況にトラウマのあるセンセイは慌てて透花の元に駆けつける。

治療法のない重い病気で日を浴びれず、学校に行くことも恋愛することもできない。

そんな人生に疲れてしまったと。

センセイは必死になって透花を助け、一つの提案をする。

「私が恋人になる」

実際に恋人にはなれずともデートやプレゼント交換などの恋人っぽいことをすることはできると。

自分は女でまだ研修医の立場だが、透花の理想の恋人になるように頑張るからと。

必死で透花を助けようとするセンセイの姿はとてもかっこよく美しい。

そんな中、透花は患者と医者、年齢差、同性愛と禁じられた関係のようなシチュエーションを経験できることに興味を示した。

そしてセンセイが自分の恋人に相応しいかテストをすることにした。

センセイは透花がテスト期間中は死なないと言ったことによる安心感と残業疲れによりその場で倒れてしまう。

少し長くなってしまったが、本作のメインパートはこれから始まる。

この2人の百合百合しい展開を望んでいる紳士淑女の皆が喜ぶシーンがこれから山ほど出てくる。

空気であり、壁である私はニヤニヤを抑えられなかった。
皆もそうなるだろう。

これから恋人としてテストを受けるにあたり、透花から10個のルールが出される。

デートの間は「透花」と下の名前で呼ぶこと。
天気のいい夜は外出デートをすること。

このような可愛らしいルール一覧を見てセンセイはくすっと笑ってしまう。

照れた透花は自分は真剣なのだと。
子供のごっこ遊びじゃないんだと。

それに対してセンセイは未熟で何もできないが恋人としてできることはなんでもすると言うが、それを聞いた透花はとても素晴らしく綺麗で美しいルールをひとつ追加した。

以降の話は自分の目で確かめてほしい。

2人のイチャイチャはもちろん、透花のために頑張って治療法を探すセンセイの姿もかっこよく、愛を感じることができる。

また、一度人生を終わらせようとした透花がセンセイと一緒にいることで変わっていく姿は健気で美しい。

この後もシリアスな展開が少しあるが、それを大きく上回る量の微笑ましいシーンが多いため、もう目が離せなくなるだろう。

優しい画風の七坂先生が描く百合シーンは心を豊かにしてくれる。

だから私は今後も七坂先生の作品を応援し続けることをここに誓おう。